番外編 船舶免許を取ったら、世界が広がるかもしれない ― 60歳から始める新しい海遊び

船舶免許の教習中、先生といろいろ雑談をした。
そこで改めて考えたのが、
「免許を取ったあと、どうするのか?」
ということだった。
これは結構重要だと思う。
車でも、免許を取った直後から何年も運転しなければ、当然ペーパードライバーになる。
知識としては運転できても、いざハンドルを握ると怖い。
一方、免許を取ってからしばらく集中的に乗って、身体が覚えるところまで経験してしまえば、その後多少ブランクがあっても戻りやすい。
船もたぶん同じだ。
今回せっかく実技で、点検、出港、操船、人命救助、着岸まで覚えた。
でも免許を取って、
「はい、合格しました」
で、その後4年も5年も船に乗らなかったらどうなるか。
おそらく次に乗るときには、ほとんど最初からやり直しだろう。
それは、あまりにももったいない。


免許を取った直後の1年が大事なのでは?

だから、免許を取ったらすぐに船に乗ろうと思っている。
特に最初の1年。
ここはある程度集中的に乗って、操船を身体に定着させたい。
最初は一人、あるいは経験者と一緒に練習する。
出港する。
走る。
曲がる。
着岸する。
風がある日も経験する。
潮の流れも経験する。
いろいろな場所で船を動かして、
「船を操縦すること自体には、もう特別な緊張を感じない」
というところまで持っていきたい。
そこまでいけば、今度は家族を乗せてもいい。
自分が操船でいっぱいいっぱいの状態で家族を乗せても、お互い楽しくない。
でも余裕を持って操船できるようになれば、
「今日は船でちょっと遊びに行こうか」
ということができる。
そうなったら、船舶免許の意味は一気に変わってくる。


船は買わなくてもいいらしい

とはいえ、船を買うつもりは今のところない。
保管場所も必要だし、維持費もかかる。
ところが先生と話していると、今はレンタルボートの仕組みがかなり整っているらしい。
たとえばヤマハのSea-Styleのような仕組みを利用すれば、各地のマリーナで船を借りることができる。
もちろん、初めて利用する場所では、その海域の注意点や船の扱い方について講習を受ける必要がある場合もある。
でも逆に考えれば、それは悪いことではない。
知らない海でいきなり自由に走るより、その場所を知っている人から危険箇所やローカルルールを教えてもらってから出た方が安心だ。
そう考えていたら、急にいろいろな場所へ行ってみたくなってきた。


「船から見る景色」を想像したら、急に面白くなってきた

先生からも、
「ここを船から見ると面白いよ」
「この辺を走るのも楽しいよ」
と、いろいろ教えてもらった。
それを聞いているうちに、自分でも次々に思いついてきた。
たとえば横浜。
みなとみらい周辺は歩くだけでも楽しい。
それを海側から見たら、どんな景色になるのだろう。
陸から見慣れている横浜の街を、自分で操船しながら海から眺める。
これはちょっとやってみたい。
東京なら隅田川。
橋の下をくぐりながら東京の街を水面から見る。
これも陸上とはまったく違う東京が見えるはずだ。
そして荒川。
昔住んでいた川口周辺を、今度は船で走ってみる。
自分が昔生活していた場所を川側から見るというのも面白そうだ。
さらに考えていくと、
「花火を船から見たらどうなんだろう?」
なんてことまで思い始める。
もちろん実際には航行規制や安全確保などをきちんと調べる必要がある。
でも、「船を操船できる」という選択肢が一つ増えただけで、今まで考えもしなかった遊び方が次々に頭に浮かんでくる。


そもそも始まりはウィングフォイルだった

考えてみれば、不思議な流れだ。
最初は単純にウィングフォイルをやりたかった。
それが少しずつ上達して、海に出る機会が増えた。
SUPもやるようになった。
沖へ行くようになった。
波や風について考えるようになった。
そして、
「もっと安全に海で活動するなら、船を操船できた方がいいんじゃないか」
と思うようになった。
特に将来、ウィングフォイルの活動を広げ、スクールのようなことまで考えるなら、レスキューやトーイングのためにも船は必要になる。
だから船舶免許を取る。
ここまでは完全にウィングフォイルの延長線上だった。
ところが実際に船を操船して、先生からいろいろ話を聞いてみると、
「あれ? 船そのものも面白いんじゃないか?」
と思い始めている。


60歳から、本当にそんなことができるのか?

そして、ここが自分としては一番面白いところだ。
今、自分は60歳。
普通に考えれば、
「今さら船舶免許を取って、全国でレンタルボートに乗って、川を走って、家族を乗せて、さらにウィングフォイルの活動まで広げるの?」
という話でもある。
確かに、ちょっと夢を見すぎているのかもしれない。
免許を取ったからといって、いきなり自由自在に船を操れるわけではない。
知らない海域には危険もある。
天候もある。
風も波も潮もある。
レンタルするにもお金がかかる。
実際に始めてみたら、
「思っていたほど簡単じゃないな」
となる可能性も十分ある。
でも、それも含めて面白い。
本当にできるのか。それとも甘い幻想なのか。
これは人に聞いて結論を出すより、自分で試してみたい。


免許を取ることがゴールではなく、スタートになる

一級小型船舶免許を取ること自体は、あと少し勉強すればできると思っている。
でも、本当に大事なのはその後だ。
免許証を財布に入れて満足するのではなく、実際に船に乗る。
最初の1年間はできるだけ経験を積む。
操船に自信がついたら家族も乗せる。
江の島だけではなく、いろいろな場所へ行ってみる。
横浜を走ってみる。
東京の川を走ってみる。
昔住んでいた場所を水上から見てみる。
そして、それをウィングフォイルやSUPにもつなげていく。
そう考えると、今回取ろうとしているのは、単なる一枚の免許証ではないのかもしれない。
自分が遊べるフィールドを、陸から海へ、そしてさらにその先へ広げるための切符。
60歳からでも本当に世界は広げられるのか。
せっかくなので、これから自分自身で試してみようと思う。

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