9月12日 超微風なのに浮いた! ― 2450cm²フォイルの衝撃、そして最後にクラゲの一撃

9月12日、土曜日。朝は晴れ、その後は曇り。
数日前の予報では北風4m/s。「これは久しぶりにいい練習ができそうだ」と期待していた。
ところが前日になると、予報は3m/sへ下方修正。
3m/sか……。
先週も似たような予報で、結局ほとんどフォイリングできなかった。しかも今週末はいろいろ予定もあって忙しい。
「今回はやめておくか」
とも思った。
しかし、7月25日に小指を痛めてから、まともなウィングフォイルの練習ができていない。最後にしっかり浮いて飛んだのは、もう1か月どころか1か月半ほど前になる。
やっぱり行きたい。
朝、もう一度天気予報を確認した。予報は相変わらず一日中3m/s。
ところが江の島のリアルタイム風速を見ると――平均5m/s。最大6m/s台。
「えっ、5m/s吹いてるじゃないか!」
5m/sなら、今の自分にはかなりいい。
しかも30分後にもう一度見ても、まだ平均5m/s前後を維持している。
予報より現況を信じよう。
これならいける。
久しぶりのフォイリングを期待して、江の島へ向かった。


江の島に着いたら……風はどこへ?

ところが、着いてみると様子がおかしい。
「あれ? あまり吹いてないぞ……」
ウィンドサーフィンは出ている。
しかし、セイルは風をはらまずV字になりながら、ゆっくり走っている。
朝の平均5m/sはどこへ行ったのか。
それでも今日は一つ楽しみがあった。
2450cm²の大型フロントフォイル。
これまで使っていた2000cm²から一気に450cm²アップ。先生から「これなら弱い風でも浮きやすい」と聞いて、ぜひ試してみたいと思っていたものだ。
これに6㎡のウィングを組み合わせる。
微風なら、むしろ2450を試すには絶好の日かもしれない。
そう考えて準備を始めた。


夏が終わって、いつもの江の島が戻ってきた

9月に入り、夏の海の家も撤去されている最中だった。
7月、8月は海水浴エリアが区切られ、マリンスポーツは江の島寄りの狭いエリアから出艇しなければならなかった。
ところが今は、その仕切りもなくなり、自由に行き来できる。
サーフスクールも広い海岸にばらけ、いつもの場所から海へ出られるようになった。
これはかなり快適だ。
ただ、海の家の撤去作業で車があちこちに停まっている。
大きなボードを抱え、その間を縫うようにして海岸まで運ぶ。
ようやく水辺に到着。
夏の混雑は終わった。
出艇場所も自由になった。
問題は一つだけ。
風がない。


SUPをやるにも、波までない

「だったらSUPでもやるか」
とも考えた。
ところが今日は波までない。
先週のように久しぶりの海なら、SUPで沖へ出てのんびりするだけでも十分楽しい。
しかし今日は、どうしてもウィングフォイルをやりたい。
少し待って、SUPも少しやってみたが、結局2450+6㎡を持って海へ出ることにした。
しかし、これがなかなか大変だった。
風が弱すぎる。
ウィングフォイルは風がなければ、ウィングそのものを自分の腕で支え続けなければならない。
風が入ればウィングは勝手に浮いてくれるのだが、風がないと6㎡の大きなウィングが、そのまま腕にのしかかってくる。
ウィンドサーフィンなら弱風でもセイルをマストで支えられるが、ウィングは全部腕。
これは結構つらい。
ほとんど修行である。
それでも、なんとか行ったり来たりする。
今日はやっぱりダメかな。
そう思い始めた。


風待ちしていたら、足に「チクッ」

風がほとんどないので、沖でプカプカしながら待っていると、どんどん流されてしまう。
そこで、胸くらいまで水につかる、ギリギリ足が海底につく場所まで戻り、立ったまま風を待つことにした。
そのときだった。
足首のあたりに、
「チクッ」
と鋭い痛みが走った。
「ん? クラゲか?」
もう一度、チクッとしヒリヒリする。
これはたぶんクラゲだ。
ただ、そのときは痛いだけで、特に動けないわけでもない。
高校時代にアンドンクラゲに刺されたときは、立っていられないほどの激痛だった。その経験と比べれば、今回はそこまでではない。
幸い、この日はウェットスーツを着ていた。
ただし足元はマリンシューズなので、ウェットスーツとの間のくるぶし付近だけが露出していた
よりによって、そのわずかな隙間を刺されたらしい。
「まあ、これくらいなら大丈夫だろう」
痛みを我慢して、そのままウィングフォイルを続行した。
今思えば、この時点ではこのあとどうなるか、まったく分かっていなかった。


「えっ、この速度で浮くの?」

しばらくすると、一瞬だけ少しブローが入った。
おそらく3m/s程度。
「今だ」
ウィングをパンピング。
同時に脚でもポンピングする。
すると――
フワッ。
浮いた。
「えっ?」
ほとんどスピードが出ていない。
自分の感覚では、2000cm²ならまだ全然離水する速度ではない。
ところが2450は、あっさり水面を離れた。
あまりにも予想外だったので、こちらの準備ができていない。
「この速度で浮くの?」
と思った瞬間にはバランスを崩して着水。
しかし、その後もう一度同じことが起きた。
また少しブローが入る。
パンピング。
また浮いた。
結局この日の離水は2回だけ。
しかも、どちらも長く飛び続けるところまではいかなかった。
それでも自分にとっては、かなり衝撃的だった。


2000から2450。450cm²の差は想像以上だった

これまでの2000cm²では、自分の感覚として5m/sくらいあれば離水できる。
6m/sならかなりいい。
7m/sくらいになると、むしろ少しオーバー気味。
そんな感じだった。
だから、今日のような2〜3m/s程度の超微風では、最初から「浮くわけがない」と思っていた。
ところが2450cm²は違った。
ほんの少し風が入り、ウィングと脚のパンピングでわずかに加速しただけで、フォイルが水面からボードを持ち上げた。
もちろん2450cm²にしたから、2〜3m/sで自由自在に飛べるという話ではない。
今日も浮いたのはわずか2回で、そのまま飛び続けるだけの風はなかった。
でも、離水できる最低ラインが明らかに下がったことは体感できた。
これは大きい。


4m/sなら、いけるかもしれない

今日の最大の収穫は、「浮いたこと」そのものよりも、その先が見えたことだった。
今日のような超微風でも一瞬浮く。
だったら3m/sでも、もう少し安定したブローがあればどうだろう。
そして4m/s吹けば?
6㎡のウィングでしっかりパワーを取り、ウィングのパンピングと脚のポンピングをうまく組み合わせる。
2450なら4m/sでも、十分フォイリングできるんじゃないか。
そんな確信に近い感触を持つことができた。
これまでなら「予報3〜4m/sか。今日は無理だな」と諦めていた日が、練習できる日に変わるかもしれない。
もしそうなら、このフォイルの意味はかなり大きい。


家に帰ってから、本当のダメージが出てきた

練習を終えた時点では、クラゲに刺された足は「まあ痛いけど大丈夫」という程度だった。
ところが家に帰ってウェットスーツを脱いでみると、話が変わっていた。
くるぶしの周辺が、しっかりミミズ腫れになっている。
しかも触手が当たったような跡が、10cmくらいにわたって長く残っている。
そして翌日。
さらに赤く腫れ、水ぶくれまでできてきた。
「これ、結構ひどかったんじゃないか?」
海の中ではそのままウィングを続けていたのだから、我ながらよく平気だったと思う。
何のクラゲだったのかは分からない。
水中で足首を刺されただけなので、姿も見ていない。
昔刺されたアンドンクラゲほどの激痛ではなかった。
一方で、長い触手のような跡と翌日の強い腫れを見ると、それなりの毒を持ったクラゲだったのだろう。
カツオノエボシだったのか?
それも分からない。
ただ、もしもっと強烈な種類だったらと思うと、ウェットスーツとマリンシューズのわずかな隙間だけで済んだのは、むしろ幸運だったのかもしれない。


小指の次はクラゲ。それでも海へ行きたい

7月25日に小指を痛め、ようやくウィングに戻ってきたと思ったら、今度はクラゲ。
家族からは、
「もう海、やめたら?」
と言われてしまった。
まあ、そう言いたくなる気持ちも分かる。
それでも今日、1か月半ぶりに感じたあの瞬間。
ボードが水面から離れ、急に抵抗が消える「フワッ」という感覚。
ほんの一瞬だったが、
「そうそう、これだよ」
と思った。
しかも今回は、
「2450、こんな低速で浮くのか。」
という新しい発見まであった。
指はまだ少し痛い。
今度は足首まで腫れている。
なかなか完全復活とはいかない。
それでも2450cm²の可能性は、今日かなりはっきり見えた。
次は3〜4m/s。
できれば4m/s。
2450cm²+6㎡で、今度こそ長く飛んでみたい。
……その前に、まずこの足を治さなければ。
次の週末こそ、何事もなく普通にフォイリングしたいものである。

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