6月13日 ついに「浮く」が当たり前になった日 ― そして見えてきた次の壁
この日の予報は南風4m/s。
午後1時から5時頃まで安定して4m/sという予報だった。
4m/sというと決して強風ではない。しかし今の自分にとってはちょうど良い。
しっかりパンピングすればフォイリングできる。
逆に強すぎて振り回されることもない。
「今日は良い練習になりそうだ」
そんな期待を胸に江の島へ向かった。
現地に到着すると、海の様子が少し違った。
ウィンドサーファーがすでにプレーニングしている。
「あれ?予報より吹いてないか?」
体感では4mを少し超えている。
これは期待できる。
急いでクラブへ向かい、最大サイズの6㎡ウィングを準備した。
フォイルを取り付け、ボードを組み立てる。
ドライバー片手にいつもの作業だ。
慣れたとはいえ準備には20〜30分ほどかかる。
そこからさらにビーチまで移動。
ようやく海へ到着した。
ビーチに出ると、さらに風が入っているように感じた。
体感では5m以上。
少し強いかもしれない。
そう思いながらも6㎡で勝負することにした。
そしていつもの電動ポンプ。
本当に快適だ。
以前は汗だくになりながら空気を入れていたが、今では数分で準備完了。
気付けば完全にレギュラーメンバーになっていた。
まずは南風に対して少し風上へ向かう。
十分な位置まで上がったところで、いよいよフォイリング開始だ。
そして――
驚いた。
一発目から浮いた。
しかも苦手意識のある逆手のスターポートサイド。
いつもなら少し緊張する方向だ。
しかし今回は違った。
フォイルがスッと浮き上がる。
風もジャスト。
ウィングをしっかり引き込める。
安定している。
そのまま走り続ける。
100m。
200m。
300m。
まだ落ちない。
そして気付けば500m近く。
湾の端から端まで、ほぼ一気にフォイリングできた。
思わず心の中で叫んだ。
「これは上達したな」
5月の頃なら考えられなかった距離だった。
反対サイドでも同じように飛べる。
もちろんまだ完璧ではない。
しかし、もう「たまたま浮いた」というレベルではない。
風さえあれば飛べる。
そんな段階に入ってきたことを実感した。
ただし、問題はそこからだった。
今の自分はもう浮ける。
それ自体は特別なことではなくなった。
しかし安定して飛び続けることは、まだ別の話だ。
少し浮きすぎれば止まるか、落ちる。
少し下げすぎれば着水する。
左右のバランスが崩れればターンしてしまう。
さらに江の島特有のうねりもある。風の強弱もある。
つまり常に修正が必要だ。
自転車のように何も考えずに乗る世界には、まだ到達していない。
上級者たちは力を抜いて乗っているように見える。
しかし自分は違う。
常に前後左右のバランスを調整し続けている。
頭の中では制御ループがフル回転だ。
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そんな中で、最近ずっと考えていたテーマがある。
フォイリング中の姿勢制御は、
足でやるのか。
それともウィングでやるのか。
という問題だ。
本やYouTubeを見ても意外と答えは見つからない。
しかし最近、自分なりの答えが少し見えてきた。
もちろん実際には足もウィングも両方使っている。
例えば前荷重を入れる時も、足だけでやっているわけではない。
足を前に入れた瞬間に、それに合わせてウィングも自然と追従している。
逆にウィングを動かして足が追従することもある。
だから完全に独立したものではない。
常に連動している。
その上で、どちらが主役か。
今のところ一番しっくりくるのは、
「足が主役で、ウィングは補助」
という考え方だ。
前後方向の制御は足の方が圧倒的に速い。
重心移動で瞬時に反応できるからだ。
一方でウィングによる前後制御はどうしてもワンテンポ遅れる。
逆に左右方向はウィングが非常に優秀だ。
風を受けたり逃がしたりすることで素早く補正できる。
だから今の自分の感覚では、
まず足で姿勢を作る。
そしてウィングがそれを支える。
そんなイメージが一番近い。
もちろんこれが正解かどうかは分からない。
しかし昨日は、この考え方で乗っている時が一番長く安定して飛べていた。
単に長く飛べたというだけではなく、フォイリングそのものへの理解が少し深まった気がした。
練習開始から1時間ほど経った頃。
風がさらに上がった。
体感では6〜7m/s。
今度は逆に強すぎる。
6㎡では完全にオーバーパワーだ。
普通に引き込むと加速しすぎてしまう。
そこでウィングを逃がしながら走る。
これはウィングフォイルの面白いところでもある。
ウィンドサーフィンならセイルサイズ選択を失敗するとかなり厳しい。
しかしウィングは風を逃がせる。
それでもやはり乗りにくい。引き込めない。
風を逃がしながらのフォイリングは安定性が落ちる。
なかなか忙しい。
気付けば3時間近く海に出ていた。
そのうち8割くらいはフォイリングしていたと思う。
少し前の自分なら夢のような話だ。
しかし今は別の感情がある。
浮くことはできる。
長く飛ぶこともできる。
でもまだ余裕がない。
常に海面を見ている。
うねりを読む。
重心を調整する。
フォイル高さを管理する。
風の変化を感じる。
正直かなり忙しい。
ウィンドサーフィンでプレーニングを覚えた頃を思い出す。
あの頃はある段階を越えると急に楽になった。
片手で乗れるようになり、景色を見る余裕が生まれた。
今のフォイリングはまだそこまで行っていない。
だから最近は、
「浮けた!」
という喜びよりも、
「まだ安定しないな」
という気持ちの方が大きくなっている。
これは贅沢な悩みなのかもしれない。
でも確実に次の壁が見えてきた。
そしてこの日はもう一つの区切りの日でもあった。
冬から春にかけて活躍してくれたドライスーツ。
今日は車で来ていたので持ち帰ることにした。
これからしばらくはウェットスーツの季節だ。
家に帰るまでの車の中で思った。
「今年の冬、またよろしく頼むよ」
ドライスーツさん、本当にお疲れさまでした。
そして自分のウィングフォイルも、どうやら次のステージに入ったようだ。
次の目標は、
ただ飛ぶことではない。
力まず、余裕を持って飛ぶこと。
その壁を越えたとき、本当の意味でフォイリングの楽しさが見えてくるのかもしれない。
風が強いと江の島の海はこんな感じで荒れています。
海の家もだいぶ出来上がってきましたね

ドライスーツお疲れ様でした。

