6月6日 風を追いかけた土曜日 ― 微風の中で見えた次のステージ
6月6日、土曜日。
天気予報を見る限り、あまり期待できるコンディションではなかった。
予報は北風3m/s。
良くても朝9時から11時の間だけ4m/s程度。
正直、決して理想的な風ではない。
それでも今の自分なら、4m吹けばパンピングを使ってフォイリング練習ができる。そんな期待を胸に江の島へ向かった。
日曜日という選択肢もあった。
しかし日曜日は雨予報。しかも風はさらに弱い。
「それなら土曜日だろう」
そう判断した。
最悪の場合はSUPで海をクルージングすればいい。海に出られるだけでも十分楽しい。
ただ――
最近は少し贅沢になってきた。
以前は海に出られるだけで満足だったのに、今は違う。
ある程度フォイリングできるようになったことで、
「やっぱり飛びたい」
という気持ちが強くなっている。
昔、ウィンドサーフィンでプレーニングを覚えた後に、ただ漂うだけでは物足りなくなった感覚に少し似ている。
良いことなのか、悪いことなのか。
そんなことを考えながら江の島へ到着した。
やっぱり弱い
海を見る。
吹いていない。
体感では2m/s程度。
「これは厳しいな……」
そう思いながらも、せっかく来たのだからやらない理由はない。
最大サイズの6㎡ウィングを選び、フォイルをセットする。
最近お気に入りの電動ポンプで一気に膨らませる。
本当に便利だ。
以前なら準備だけで汗だくだったが、今はほとんど疲れない。
ボタン一つで準備完了。
文明の力は偉大である。
9時頃、海へ出た。
吹いたり止んだり
北風はオフショア気味。
陸を越えて吹いてくるので、とにかく風が安定しない。
3m吹いたと思ったら止まる。
また吹いたと思ったら止まる。
そんなコンディションだった。
それでも風上へ登っていく。
しばらくすると4m近いブローが入る。
その瞬間を逃さずパンピング。
フォイルが浮く。
少し走る。
そして風が落ちる。
また着水。
今日はその繰り返しだった。
沈するわけではない。
ただ風がなくなってFoilingが維持できない。
フラストレーションがたまる状態だ。
帰れなくなるかと思った
一度かなり沖まで出た。
すると突然、風が完全に止まった。
本当に止まった。
「これはまずい」
一瞬そう思った。
オフショアなので、風がなくなると逆に戻れなくなる可能性がある。
慌ててパンピングを使いながら岸方向へ戻る。
休憩で陸に上がろうとすると、再び風が吹いてくる。
戻って、また走る。
また止まる。
自然相手のスポーツらしい一日だった。
今日一番のハイライト
そんな中でも、一度だけ素晴らしい瞬間があった。
ポートサイドで走っているときだった。
良いブローが入った。
パンピング。
加速。
フォイルアップ。
そして風が続く。
そのまま落ちない。
200m。
300m。
さらに伸びる。
気付けば400m近くフォイリングを続けることができていた。
派手なジャンプもない。
劇的な成功でもない。
でも確実に、
「飛び続けることが普通になってきた」
そう感じられる一本だった。
気付けば次のステージへ
少し前までの自分なら、
「今日は何回浮けた」
が最大の関心事だった。
しかし今は違う。
浮くこと自体はできる。
風さえ入れば自然にフォイルが上がる。
ある程度、長く維持できるようにもなってきた。
今の課題は、
「どれだけ長く、高く、安定して飛び続けられるか」
になっている。
これは大きな変化だ。
気付かないうちに、自分は次のステージに進んでいたのかもしれない。
いよいよ夏へ
この日は気温22〜23℃。
ウェットスーツでまったく問題なかった。
ドライスーツの季節は、もう終わりだろう。
来週あたり車で取りに来て持ち帰ろうと思う。
大きくて重いので、さすがに電車では運びたくない。
海も少しずつ夏の景色になってきた。
そして自分のウィングフォイルも、少しずつ次の段階へ進んでいる。
派手な成果はなかった。
でも、確かな前進はあった。
そんな静かで充実した土曜日だった。
来週こそ、もう少し良い風に当たりますように。

