1月31日 SUPで江の島一周
真冬の無風と、思いがけない汗と、江の島一周の特別な一日
1月31日(土)。
数日前から天気予報を見ていたが、正直あまり期待はしていなかった。風は弱い予報。ほぼ無風に近い。それでも土曜日。今の生活リズムでは、海に行ける貴重な一日だ。
「少しでも吹けば乗れるかもしれない」
そのわずかな可能性に賭けて、いつもの江の島へ向かった。
この日の気温は、朝ほぼ0℃、最高でも10℃。数字だけ見れば完全な真冬日。体感的には「今シーズンで一番寒い海になるかもしれない」と思った。正直、ちょっとした修行の気分だった。
「今日は寒さとの戦いだな…」
そう覚悟して、今年新調したセミドライスーツを着込み、手袋も用意。万全の装備で海へ出た。
無風、そしてSUP一周の提案
海面はほぼフラット。ウィンドサーフィンもウィングフォイルも誰も出ていない。
「これはさすがに無理だな」
そう思っていると、インストラクターの先生から提案があった。
「江の島一周のSUPツアー、どうですか?」
最初は「ただ漕ぐだけでウィングフォイルの練習になるのかな?」と思った。しかし先生ははっきり言った。
「長距離を立ったまま走るのは最高のバランストレーニング。ウィングフォイルに直結しますよ」
その一言で、全力で取り組む決意を固めた。
真冬なのに汗だく
漕ぎ出してみると、すぐに異変に気づいた。
「あれ?寒くない」
むしろ、体がどんどん温まっていく。
・風がない
・日差しがある
・休まずパドルを漕ぎ続ける運動量
そして何より、今年のセミドライスーツの性能が異常にいい。
25年前、ウィンドサーフィンをやっていた頃の冬用ウェットとはまったく別物だ。当時は「冬=我慢大会」だった。震えながら海に入っていた記憶しかない。
それが今は――気づけば汗をかいている。
真冬。今シーズンで一番寒いはずの日。寒さを覚悟して出たのに、まさかの汗だく。
「え、こんなことある?」
これが今日一番の驚きだった。
江の島の裏側、そして富士山
江の島をぐるっと一周するルートの途中、島の裏側を間近に見る区間がある。ここが本当に特別だった。
観光客が歩いていても絶対に見られない景色。SUPでしか来られない位置。岩肌や断崖が目の前に迫ってくる。
「これ、普通の人は見られないよな…」
そんな優越感すらある。海の上に立っている人だけが見られる景色。
そして振り返ると――
江の島のシルエット越しに、富士山が真正面にドーン。
青い海。島の影。その奥に白い富士山。完璧すぎる構図だった。
思わずパドルを止めて見入った。
「これ、家族全員に見せたいな…」
本気でそう思った。
だがその瞬間、この絶景を独占しているのは私と先生の二人だけ。静かな真冬の海で、絶景を二人占め。
「今日はこれだけでも来た価値があったな」
心からそう思えた時間だった。
SUP一周、そしてサーフィン
江の島一周は約1時間。落水なし。ずっと立ったまま安定して漕ぎ続けられた。体幹、バランス、持久力。確かにこれはウィングフォイルの基礎トレーニングだと実感した。
真冬なのに汗だく。本当に不思議な感覚だった。
先生と別れ、その後はサーフィンモードへ。
いい波が入っているポイントで挑戦。最初の2本はきれいに成功。スッとテイクオフし、そのまま気持ちよくライド。
「お、かなり上達してるぞ」
自分でもはっきり分かる進歩だった。
ところが3本目以降、突然うまくいかなくなった。漕いでもボードの向きが安定せず、波に乗れない。
「調子悪いな…?」
何度やっても同じ。波の形が悪いのか、自分の実力か。モヤモヤしたまま、戻ることにした。
そのときだった。
パドルを強く入れた瞬間、ボードがクルっと回る。
「あれ?」
降りて裏を確認すると――フィンがない。
根元で折れ、完全に脱落していた。
浅瀬を探したが見つからない。
「あーやっちゃった…お店に謝らないと」
フィンのありがたみ
出発地点まで約300m。普段なら3〜5分で戻れる距離。しかしフィンがないとまったく直進しない。
前から漕ぐとすぐノーズが振られ、回転してしまう。
そこで、
・パドルを後ろ寄りに入れて漕ぐ
・左右交互に細かく修正
これで何とか方向を保つ。
少し進んでは回り、また修正。
結局20分以上かかってほぼ帰還。最後の30mは浅瀬を歩いてようやく到着した。
「あの小さなフィンがここまで重要とは…」
道具のありがたさを身をもって学んだ瞬間だった。
風がなくても、海は裏切らない
結局この日はウィングフォイルはできなかった。
しかし、
・真冬日に汗をかいた意外な体験
・進化したセミドライスーツの快適さ
・江の島裏側と富士山の絶景独占
・SUP一周の良質トレーニング
・サーフィン上達の実感
・フィンの重要性という学び
内容はむしろ盛りだくさんだった。
「風がなくても、海はちゃんと楽しませてくれる」
そして、
「真冬の海も、もう怖くない」
そう思えた、とても充実した一日だった。
