9月13日: SUP 波乗り;Wingなし
私の目標は明確だ。
いつか Wing-foil で自由に波に乗り、
海面を飛ぶように走り、ジャンプし、風と一体になること。
そのためには、波を読む力、波に乗る感覚を身につけることが欠かせない。
今日はそのための、大切な一日だった。
朝から海は静かで、風はわずか2m/sほど。
ほとんど止まっているような微風だった。
先生が提案してくれた。
「今日はWingは無理だね。SUPで波乗りスクールをやろうか。」
正直、早くWing-foilを極めたい気持ちは強かったが、
風がない以上、できることをやるしかない。
そして何より、波を学ぶことは、
最終目標へ続く重要なステップでもある。
SUPでの波乗りは初めての本格レッスンだった。
かつてハワイでロングボードを一人で練習したときには、
何度挑戦しても波に乗れず、ただ海に押し返されるばかりだった。
しかし今日は違った。
先生が波を見極め、タイミングを教えてくれる。
パドルをこぐ速さ、体の姿勢、目線の向け方――
そのすべてを丁寧に指導してもらった。
そしてついに、波の力を背中で感じた瞬間、
SUPが滑るように前へ進んだ。
それはほんの短い時間だったが、
水面をすべる感覚に思わず笑みがこぼれた。
波乗りといっても、両足をそろえて波に直角に立つ形で、
いわゆるサーファーのような斜めのライディングとは違う。
それでも、自分で波を掴み、
海の力に押し出されて走るあの感覚――
それは新鮮で、驚くほど楽しかった。
確かに、これはWing-foilの波乗りへとつながる第一歩だ。
安定のコツも教わった。
ボードの中央に立つとバランスは取りやすいが、
波に乗るとノーズが刺さって沈してしまう。
「20センチ後ろに乗るんだよ」と先生。
その一言で、世界が変わった。
波の見極め方、立つタイミング、パドルの使い方――
ひとつひとつが新しい発見の連続だった。
そして、海の景色もまた少し変わっていた。
これまで海水浴エリアを区切っていた黄色いブイが、
ついに撤去されていたのだ。
あれほど窮屈に感じていた境界線が消え、
海がひとつにつながって見えた。
ただそれだけで、
心の中まで広く、自由になった気がした。
今日は風がなかったけれど、
波が教えてくれた。
“進む力”は風だけではない――
自分の中にも、ちゃんとあるのだと。

海の家が取り壊されましたが、まだ木材が残っていますね。でもブイがなくなったので、自由になった感じです。

