8月16日:初めて、船で沖へ行ってWingボード!
今日は、ついに船で沖へ出るレッスンの日。
これまでの練習は浜辺の近くだったが、
今日は本格的に「海へ出る」。
期待と不安が入り混じる中、初めて小さなボートに乗り込んだ。
砂浜を離れるとき、
海水浴客たちの視線を背に受けた。
「行ってらっしゃい」とでも言うような羨望の眼差し。
水陸両用のボードを抱え、
まるで冒険へ旅立つような気分だった。
しかし、いざ出航すると――
想像以上の揺れだった。
小さなボートは波に叩かれ、
ドン、ドン、と海面を打ちつける。
身体が跳ね、腰に響く衝撃。
快適とは言いがたいが、
その荒々しさに胸が高鳴った。
まさに「海と格闘する」という感じだった。
沖に着くと、先生が笑って言った。
「風上に走れれば、左右の往復ができるよ。
流されたらボートで回収するから大丈夫。」
私は笑いながら答えた。
「回収されないように頑張ります!」
そうして始まった、沖での初レッスン。
ところが、風が――ない。
ほとんど吹いていない。
しかも、うねりが強く、
ボードが常に上下に揺れる。
風があればバランスを取れるのだが、
今はその助けもなく、ただ波に弄ばれるばかり。
立っては沈み、立っては沈み。
冷たい海水が、悔しさを混ぜて頬を打った。
つい口に出た。
「風がないので上手くいきません……」
すると先生が一言。
「風のせいにしない。できることをやろう。」
𠮟られたというより、
むしろ背中を押されたようだった。
それでも、心の中はぐらぐらと揺れていた。
沈を繰り返すうち、
気がつけば風下へ流され、
テトラポットが近づいていた。
危険を察知した先生がすぐにボートで回収。
再び風上へ戻って、再挑戦。
だが、結果は同じ。
そして追い打ちのように、
水面に青く光る影――カツオノエボシ。
先生が叫ぶ。
「そこ危ない!沈しないで!」
いや、したくなくても、沈してしまう(泣)。
恐怖と情けなさが入り混じり、
思わず笑うしかなかった。
結局、再びボートで回収され、
波に揺られながら帰路についた。
後ろの席に座ると、
跳ね上がる水が容赦なく顔にかかる。
もうどうでもよくなって、
びしょ濡れのまま浜へ戻った。
ウェットスーツが体に張り付き、
海風がやけに冷たかった。
――やっぱり、風がなくてうねりがあると厳しい。
Wing、やめたくなった。
今日得たものは、ボート乗船経験のみ。
でも、きっとこの悔しさも、
いつか“風を掴む日”への伏線になるのだろう。

私の気持ちとは裏腹に、お盆休みのビーチは大盛況でした。

