3月28日 静かな海、遠いブレイクスルー ― それでも確実に近づいている
3月28日(土)。
この日は先生のスケジュールが合わず、完全な自主練習の日だった。
事前の予報は5〜6m/s。
「今日はいい練習になる」
6㎡のウィングでちょうどいいコンディションを思い描きながら、期待して江の島へ向かった。
――が、やはり来た。
当日朝の予報修正。
3m/sへ下方修正。
「またこのパターンか…」
最近はもう分かってきた。
特に午後の南風は、直前になると弱くなることが多い。
それでも行く理由
それでも行く。
なぜなら、風が弱くてもやることがあるからだ。
1時半に到着。
体感は2〜3m/s。
「厳しいが、ゼロではない」
すぐにいつもの準備に入る。
・フォイルの組み立て
・ボードへの装着
・ウィングの準備
・ライフジャケット、リーシュ、ヘルメット
そしてボードをカートに載せて、観光客の間を抜けながら出艇エリアへ向かう。
途中、先生がわざわざ見送りに来てくれた。
「今日は弱そうだけど、頑張ってください」
その一言に、少し気持ちが引き締まる。
この風で浮く人がいる
海に出ると、やはり風は弱い。
ウィンドサーフィンはV字でギリギリ走っている程度。
しかし――
一人だけいた。
このコンディションでフォイリングしている人が。
「この風で浮けるのか…」
正直、衝撃だった。
同じ海、同じ風。
それでも浮く人は浮く。
「ここまで行けば、世界が変わる」
そう感じた。
沖へ、そしてうねり
まずは基本通り、風上へ登る。
スターボードでもポートでも、しっかり登れる。
以前より明らかに安定している。
そのままどんどん沖へ。
久しぶりにかなり沖まで出た。灯台の近くまで。
「ここなら風が強いかも」
そう期待したが――風は変わらない。
代わりに現れたのは大きなうねり。
1m近い波がゆっくりと押し寄せる。
風は弱いのに、海だけが荒れている。
「これはこれで厳しい」
ここを限界として、ジャイブして戻ることにした。
地味だが核心の練習
帰りはフォイリングトライ。
パンピング。
ボードポンピング。
後ろ足荷重。
今まで積み上げてきた動きを、ひとつずつ確認する。
空気圧も適正。
動きも悪くない。
「感覚はいい」
――だが、浮かない。
一度だけ「来たか?」という瞬間はあった。
しかしそれだけ。
この風では限界だった。
見えた確信
今日は派手な成果はない。
浮けない。
走るだけ。
正直、書いていてもエキサイティングではない。
しかし――
確信は強くなっている。
・パンピングは安定してきた
・動きの再現性が上がっている
・風さえあれば浮く状態にある
「あと1〜2m風があれば、確実に浮く」
この感覚が、回を重ねるごとに明確になっている。
3時間の意味
気がつけば、この日も約3時間海にいた。
何か劇的なことが起きたわけではない。
だが、確実に前に進んでいる。
こういう日こそ、実は一番重要なのかもしれない。
次へ
次に必要なのは、技術ではなく条件。
「風」
それだけだ。
来週こそ、いい風が吹いてほしい。
その瞬間、確実に次のステージに入る。
静かな海の中で、確実な手応えだけを積み上げた一日だった。

