10月4日: ギアメーカーの展示・試乗会への参加

この日は、先生のすすめで通常のレッスンは行わず、
江の島で開かれる試乗会に参加することにした。
海辺には最新のギアがずらりと並ぶと聞き、
「久しぶりにウィンドサーフィンもできるかも」と胸が高鳴った。

先生からは「ウィンド用のハーネスを持ってきてね」と言われていたが、
家内を探しても見つからず、
中古を探しても良いものがなかなかない。
結局ハーネスなしで挑むことにした。
風予報は4〜5m/s。
「これくらいならハーネスなしでもいけるかな、ラッキーだ」
そう思っていたのだが――。

いざ現地に着いてみると、
風は非常に弱く、しかもオフショア。
まさかのコンディションだった。
この風向きで沖に出れば、帰れなくなるリスク大だ。
救助されるようなことがあれば、
江の島で二度と乗れなくなってしまうだろう。
その現実的な想像が頭をよぎり、潔くウィンドは断念した。

代わりに、試乗会で最新の高級SUPを体験させてもらうことにした。
いつも乗っている180Lの安定型ボードとはまるで違う。
驚くほど軽く、繊細だ。
最初に試したのは、わずか120Lほどの小型SUP。
「小さいとこんなに違うのか」と思うほど不安定で、
前後左右に神経を集中しないとすぐ沈しそうになる。
先生がつきあってくださり、
慎重に沖を一周。沈はしなかったが、
バランスとるのに必死で、正直、リラックスする余裕はなかった。

波打ち際の浅瀬に戻り、波に乗ろうかと少し後ろ足を引いた瞬間――
たちまちバランスを崩して沈。
ここまで沈せず頑張ったのにと、思わず笑ってしまった。

途中、先生が「このカーボンのパドル、試してみますか?」と勧めてくれた。
正直パドルは何でも一緒ではないかと思っていて、
先生のご提案に応えないと申し訳ないとの消極的な理由で、
半信半疑で手に取ってみたが、ひとこぎして本当に驚いた。
水の抜けが軽く、ブレードが水を切る感触がまるで違う。
同じ“こぐ”という動作なのに、
まるで別次元の道具を手にしたようだった。
「これ、いいな……」と思わず呟く。
価格を聞いてさらに驚く。5〜10万円。
SUPボードを持っていないのに、パドルだけ欲しくなってしまった。

次に試したのは、細くて長いタイプのSUP
左右のバランスには気を使うが、
小型よりもずっと乗りやすく、安定感があった。
少し調子に乗って強くこいでみたら、一度沈したが、
「これなら楽しめる」と素直に思えた。

ギア試乗を終えたあと、先生とは別れて、
いつものスクール用SUPに戻って自主練習。
やっぱりこのボードは安定していて、
何より“落ち着ける場所”のように感じた。
それでも、先ほど使ったカーボンパドルの感触が忘れられない。
一度良いものを知ってしまうと、もう元には戻れないものだ。

その後、数本の波に乗り、
満足のいくセッションを終えたところで、
空が急に暗くなった。
黒い雲が近づき、冷たい雨が降り出す。
雷雲のような影が海面を覆い、
今日はここまでだと静かにボードを浜へ戻した。

風はなかったけれど、
新しい道具に触れ、知らなかった世界を少し覗けた。
海で学ぶことは、いつも“技術”だけではない。
風を待つ時間もまた、
海を知る大切なレッスンなのだと思った。

次回のギアフェアまでに、これらを自由に乗りこなせるようになるぞ!

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