7月5日:電動Foil(ハンドルなし)にチャレンジ
「今日はどうしますか? ハンドル、つけますか? なしにチャレンジしますか?」
先生の問いかけに、迷いなく答えた。
「ハンドルなしでお願いします!」
その一言に、自分でも驚くほどの気合いがこもっていた。
ついに、次のステージへ進むときが来たのだ。
ところが――。
同じ電動Foilボードなのに、ハンドルを外した瞬間、
まるでまったく別の乗り物になってしまった。
先週までのあの自信はどこへ行ったのか。
思い通りに体が動かない。
ボードが浮くたびに、バランスを崩して沈む。
浮いては沈み、浮いては沈み。
海面に打ち返される音が、今日の難しさを物語っていた。
ハンドルがないというだけで、
寄りかかるものがなく、
支えも、軸も、頼るものもない。
ただ、自分の体の感覚だけが頼り。
重心をほんの少しでも誤れば、
ボードは無情にも傾き、
冷たい海に吸い込まれていく。
それでも、前に進みたいという気持ちは消えなかった。
何度も立ち上がり、何度も挑戦した。
あのトーイングのときに味わった絶望よりは、まだ前向きだった。
波に負けても、どこかに光が見える気がした。
レッスンの終盤、ようやく数秒だけ、
ボードが素直に滑ってくれた。
その短い瞬間だけは、風と一体になれた気がした。
けれど全体としては、厳しく、つらい時間。
思うようにいかず、少し悔しい幕切れだった。
それでも――。
挑戦したこと自体が、今日の収穫だと思いたい。
海の上で学んだのは、技術ではなく「自分の未熟さ」。
そして、諦めない心こそが翼になるということ。
次こそは、もっと遠くへ。
もっと自由に、風の上を走ってみせる。

